一輪の芥子の花が大胆な構図で描かれた本作。これによく似た雰囲気の作品が、1905年発行の米雑誌の広告に載っている。
当時世界をリードした陶磁器メーカー、米ルックウッド社のものだ。前年の同社のカタログにも掲載されており、当時の代表作と考えられる。
19世紀末から20世紀初め、欧米で開かれた万博などを通して、各国のメーカーは世界のライバルを意識した。西浦家の5代目圓治も積極的に情報を収集、一族の猪三郎がルックウッド社を視察したことを報告するはがきも残っている。
学芸員の水野貴子さんは「それまで日本になかった美しい焼き物を目の当たりにして、こうした作品を作りたいという思いが芽生えたのでしょう」と話す。
今展では西浦焼とともに、ロイヤル・コペンハーゲンやルックウッドなど同時代の海外メーカーの動向を紹介する。