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美博ノート

唐織菊叢文様黒紅地(からおりきくむらもんようくろべにじ)

近世能装束の世界 用の美 武家貴族の美意識(岐阜市歴史博物館)

  • 唐織 菊叢文様 黒紅地 江戸時代

 簡素なしつらえの能舞台に映える華やかな能装束。唐織、摺箔など約20種類があり、役の性別、年齢、身分、職業などを観客へ伝える重要な役割を果たしている。

 唐織は女性役が身に着ける表着で、最も華やかな装束の一つ。和紙に柿渋、のり、漆をひき、金や銀の箔を貼りつけた平箔を地模様に織り、色とりどりの糸を浮かせて文様を織り上げた絹織物。刺繍のように見える立体感は、織物の技術によるものだ。

 菊の花がモチーフの本作は、能装束で好まれる秋草の文様の典型。学芸員の社本沙也香さん(32)は「花が全面にあしらわれていますが、色の変化を上手に使っているため圧迫感がありません。華やかで美しく、同時に大変繊細な作品です」と話す。

 能装束は上質な生糸生産と高度な染織技術を背景に、江戸時代に発展した。今展は、武家の美意識と教養が反映された当時の作品とともに、現代に復原された装束を紹介する。

(2021年7月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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