愛知県のほぼ中央に位置する岡崎市。南北に矢作川、東西に東海道が貫く要地として古くから人が暮らし、独自の歴史と文化が培われてきた。
6世紀中ごろ~後半ごろに築かれた市北部の岩津第1号古墳では装飾が施された須恵器が多数出土している。
朝鮮半島から伝わったとみられる青灰色の須恵器は窯で高温で焼成され、従来の野焼きの土器に比べ硬質。近畿や中国地方でも出土する装飾須恵器は地域によって装飾に特色があり、岡崎を含む伊勢湾沿岸地域ではふたのつまみに施された鳥をかたどった装飾が特徴だ。
一つの古墳からこれだけ多くの装飾須恵器が出土する例はほとんどないという。当時の最先端技術だったことを考えると、古墳の被葬者は中央政権とつながりを持っていたか、朝鮮半島の文化を享受できた特権階級に属したと考えられる。