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「上絵金盛薔薇図チョコレートセット」

優美な曲線から歴史が伝わる カップ&ソーサー物語(横山美術館)

1891~1911年ごろ オールドノリタケ
1891~1911年ごろ オールドノリタケ

 赤い濃淡のバラの絵柄に、金色の取っ手や縁が豪華な本作。取っ手やポットのふたのつまみの形からはアールヌーボー様式の影響も感じられる。

 ホットチョコレートが冷めにくいよう背が高めのカップとポットのセットは、「メープルリーフ」印が付いた「オールドノリタケ」だ。

 明治初期に輸出商社として出発した森村組と、同社が設立した日本陶器(現ノリタケカンパニーリミテド)が製造販売したオールドノリタケ。米国を中心に輸出され、現地の好みや美術の世界的流行を研究したデザインや繊細なつくりが人気を博した。

 生地の上に粘土を搾り出し、点や線を盛り上げて金を塗る「金盛」はオールドノリタケの特徴といえる。「純度の高い金で、100年以上経っても変わらぬ輝きを放っています」と学芸員の中澤麻衣さんは話す。

(2021年11月16日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)