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弥生時代

時の迷路と瓦の歴史(高浜市やきものの里かわら美術館)

「弥生時代」 香川元太郎 38×46センチ アクリル絵の具 『時の迷路』(2005年)所収
「弥生時代」 香川元太郎 38×46センチ アクリル絵の具 『時の迷路』(2005年)所収
「弥生時代」 香川元太郎 38×46センチ アクリル絵の具 『時の迷路』(2005年)所収 弥生土器・高杯 弥生後期 口径22×器高17.2センチ 愛知県古井堤遺跡出土

 あぜ道が曲がりくねった水田で人々が田植えをするかたわら、トキが羽を休める。柵をめぐらせた集落では子どもが遊ぶ一方、やぐらの上の見張りは、舟でやってきた外敵への警戒を呼びかける。

 「弥生時代」は、史実に即した描写で歴史考証イラストレーターと呼ばれる香川元太郎の迷路絵本シリーズの一枚。

 注目してほしいのは画面右側。中ほどに食器として使われた「高杯」を作る様子が描かれている。

 高杯は愛知県内の遺跡からも出土している。渡来人がもたらした高度な技術が反映され、驚くほど薄い。主任学芸員の井上あゆこさんは「想像より軽いので、扱うときは緊張します」と話す。

 香川が描く「迷路」「お城」シリーズの原画と合わせ、やきものや瓦を展示する今展。親しみやすく歴史を伝える試みだ。

(2021年12月7日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)