あぜ道が曲がりくねった水田で人々が田植えをするかたわら、トキが羽を休める。柵をめぐらせた集落では子どもが遊ぶ一方、やぐらの上の見張りは、舟でやってきた外敵への警戒を呼びかける。
「弥生時代」は、史実に即した描写で歴史考証イラストレーターと呼ばれる香川元太郎の迷路絵本シリーズの一枚。
注目してほしいのは画面右側。中ほどに食器として使われた「高杯」を作る様子が描かれている。
高杯は愛知県内の遺跡からも出土している。渡来人がもたらした高度な技術が反映され、驚くほど薄い。主任学芸員の井上あゆこさんは「想像より軽いので、扱うときは緊張します」と話す。
香川が描く「迷路」「お城」シリーズの原画と合わせ、やきものや瓦を展示する今展。親しみやすく歴史を伝える試みだ。