花びらが落ち、茎がしなって、うなだれながらもなお地面に立つヒマワリ。作者の上原欽二(1915~2001)は、40代ごろから20年以上ヒマワリを描き続けたが、学芸員の古池幸代さんは「美しく咲いているヒマワリの作品はほとんどないのでは」と話す。
愛知県岡崎市生まれの上原は、名古屋の中学などで教壇に立ちながら制作、戦後は画業に専念した。
ヒマワリのたくましさや生命力に憧れて描き始めたが、咲き誇る盛りの頃よりも、枯れて種の重みにこうべを垂れる姿が面白く美しいと随筆にも書いている。「人間が老いていく姿にも似て、そこに人間的な表情を感じ取ったのでしょう」
上原は自身の作品について「一点々々自画像であって、その自画像は私の日記帳の様なもの」と語った。ヒマワリを描き続けた画家はその後、琵琶湖へ通い、湖岸のアシを題材に連作を残した。