縁のあるモダンなデザインに、淡黄色の灰釉。本作は江戸時代から作られている瀬戸の代表的な器「石皿」の伝統を受け継いだ。
一方で、洗練された形や使いやすさを考慮した小さめのサイズに現代的なセンスが感じられる。
ガラスのような透き通った色味や貫入(細かいひび)、シンプルな文様。「使うごとに貫入に渋みが加わり、なじんだ色に育ちます」と学芸員の岩間千秋さんは話す。東京・駒場の日本民芸館が主催する「日本民芸館展」で2017年度に奨励賞を受けた。
作者の水野雄介は、約300年続く瀬戸本業窯の8代目となる予定の若手。本業窯には祖父の6代目半次郎の頃、バーナード・リーチや浜田庄司も訪れたという。
日本民芸館の改築時、一部を譲り受けて開館した豊田市民芸館。本展では14~20年度の収集資料から日本民芸館展関連資料をはじめ約200点を紹介する。