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みどりの中に憩う

和の饗宴 神宮美術館アーカイブス(式年遷宮記念神宮美術館)

芝田米三 縦181.8×横227.3センチ
芝田米三 縦181.8×横227.3センチ

 柔らかな日差しをうけながら、楽譜帳を手にベンチに腰掛ける男女。イタリアの作曲家ジュゼッペ・ベルディと2番目の妻で元オペラ歌手のジュゼッピーナだ。

 背景に広がるのは邸の広大な敷地。最初の妻や子を次々と失った後に移り住んだ北イタリア郊外と思われる。

 本作を手がけた洋画家・芝田米三(1926~2006)は、スペインのサグラダ・ファミリア教会とその設計者ガウディを描いた1992年の作品以降、歴史上の著名人をゆかりの深い場所とともに多く描いた。制作にあたっては人物像を丹念に調べ、現地を実際に訪れたという。

 80年代には雑誌「婦人公論」の表紙を飾るなど芝田は多くの女性像を描き、そのモデルの多くは妻の藤子さんだったともいわれる。「献納の際もご一緒にお越しになり、仲むつまじいご様子でした」と学芸員の中村潔さんは話す。

(2022年3月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)