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「オオアリクイ」

大地のハンター展(名古屋市科学館)

本剝製(はくせい)標本 国立科学博物館所蔵=日本経済新聞社提供
本剝製(はくせい)標本 国立科学博物館所蔵=日本経済新聞社提供

 フサフサした尻尾に細長い顔。口から突き出たムチのような長い舌。オオアリクイは中米から南米に分布し、シロアリやアリだけを食べる偏食のハンターだ。

 草原に点在するアリ塚の硬い土壁に前脚の鋭いかぎ爪で穴をあけ、ネバネバした舌を差し込んで獲物を絡め取る。下あごに気圧を調整する仕組みがあるといわれ、1分間に何十回もの高速で舌を出し入れできる。

 咀嚼する必要はないので歯は退化。一定の縄張りの中のアリ塚を順繰りに回って日中を過ごす。

 同じアリ食の動物に、全身が硬い鱗に覆われた「センザンコウ」がいる。アフリカや南アジアに分布し、こちらも長い舌を持つ。

 国立科学博物館研究主幹・川田伸一郎さんは「系統的に異なる生物同士が、それぞれ環境に適応した結果類似した形になった収斂進化の例としておもしろいですね」と話す。

(2022年4月5日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)