彫刻家イサム・ノグチ(1904~88)は米国人の母と日本人の父をもち、米ロサンゼルスで生まれた。2歳で日本へ移り住んだが、13歳で再び米国へ。彫刻を学んだ後、世界中で創作活動を行った。
「AKARI(あかり)」ランプ誕生について、ノグチは「その物語は魚から始まる」と書いている(みすず書房「イサム・ノグチ エッセイ」)。1951年に岐阜市で鵜飼いを見物、観覧船をほのかに照らすランタン(岐阜提灯)に目をひかれたのだ。
つてをたどって市内の尾関次七商店(現オゼキ)の工場を見学。ノウハウを吸収するとその後何度も岐阜を訪れ、試作品を作り始めた。
それ以前にも内部に照明を取り込んだ「ルナー彫刻」(ルナーは月に似た、という意味)を発表していたノグチ。和紙と竹による柔軟性と軽さに新たな可能性を見いだしたとされ、比較的初期の本作を含め35年間に200種類ほどの「AKARI」を生み出した。