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イサム・ノグチ来訪時の写真

イサム・ノグチ「光の彫刻」展(飛驒市美術館)

田中一郎撮影 1951年 田中スタジオ所蔵
田中一郎撮影 1951年 田中スタジオ所蔵

 雪をかぶった木造家屋の軒先、農婦らしい女性の横でカメラを構えるイサム・ノグチ。本展で「AKARI」シリーズと共に展示されている初公開写真4点のうちの1点だ。いずれも写真家・田中一郎(1914~2007)が撮影した。

 高山市出身の田中は東京で写真を学んだ後、地元に戻り写真館を開業。高山の古い街並みや市井の人々を撮り続けた。

 この写真は1951年の冬、ノグチが丹下健三らとともに高山市を訪れたときのものだ。朝に降った大雪の中、一行はバスで古民家などを見学して回った。ノグチは雪景色に喜んでしきりにライカのシャッターを押したという。

 田中はリアリズム写真を提唱した土門拳に共鳴し、土門が審査員を務める雑誌の月例コンテストの常連だった。土門は田中の写真について、その手にかかると日常的な風景が「写真」になると評し、「田中の日常的なものへの非常に深い愛情による」と述べている。

飛驒市美術館ホームページ

https://www.city.hida.gifu.jp/site/hida-loca/09-03.html

(2022年5月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)