照明を受けてきらめく雪の結晶。天井から大小4枚、レース編みのような作品をつり下げてあり、正面から見るとそれらが重なり合い、奥行きをもって見える。一つ一つのパーツは、近づいて見ると動物の骨の形だ。
作者は1979年生まれの現代美術家・新野洋。植物の葉や種などをシリコーンゴムで型取りし、合成樹脂で作ったパーツから架空の生物を組み立てる技法を編み出した。
その技法を発展させた本作は、新潟の山間地で採集した野生動物の骨で型を取り、二つと同じ形がないという雪の結晶をいくつも作り出してつなげた。自然界に魅せられ、自然をつぶさに観察する新野にとって制作は「自然の摂理を探るための実験」という。
「きれいな雪の結晶、と思うと実は骨。はかなさと美しさと恐ろしさを感じます」と学芸員の坂上しのぶさん。
本展ではそれぞれの「自然」を異なるかたちで表現する現代作家2人を紹介する。