新野洋 2021年 ポリウレタン樹脂、アクリル、ピアノ線、テグス
縦24×横24×奥行き24センチ
現代美術家・新野洋は1979年生まれ。幼いころから物作りが好きで美大に進学したが、追求するべきテーマが見つからず模索が続いた。
卒業後に留学したウィーンで風景画を描いていて、ふと草むらの虫たちに気づいた。「そこに見るべきものがあるのでは」。もともと虫が好きで、虫を描くのも好き。そこら中の虫を観察して描き、虫がいない冬は、鉢植えのサボテンなどをモチーフに架空の虫を描いた。
ある日「羽根」がついたカエデの種が落ちているのを見て「チョウチョのようだ」と思った。制作材料にしたいが、種はいずれ朽ちてしまう。そこで思いついたのが型に合成樹脂を流して形を写し取る方法だった。
本作はアトリエのある京都の里山で採集した植物の種や花びらなどを型取りして彩色したパーツを組み立てた。「自然がどうやって、色やかたちを決めていくのか」に興味があると新野はいう。