西洋野菜がモチーフの壁紙のデザイン画。素朴な筆跡は、作者の若さゆえか。
作者名はわかっていない。20世紀初めに活躍したフランスのファッションデザイナー、ポール・ポワレ(1879~1944)がパリに設立した工房「マルティーヌ」でデザインを学んだ12~17歳の女生徒の作品だ。
ポワレは工房設立にあたってオーストリアの「ウィーン工房」を手本にした。1903年に建築家ヨーゼフ・ホフマンらが設立、インテリア、家具、服飾品などのデザインを行った。ポワレは10年にウィーン工房を訪れ、翌年マルティーヌを始動させた。
ポワレはウィーン工房の生地を洋服に仕立て、工房もまたポワレのデザインに似たドレスを発表するなど、両者の交流は円満に続いたという。
第1次大戦後の「戦間期」を中心に本格化したドイツの機能主義、フランスのアール・デコ。本展では、消費社会の進展を背景に共鳴しながら時代をなした「モダン」の様相を紹介する。