葛飾北斎 19世紀後半 25.1×37.3㌢
高浜市やきものの里かわら美術館・図書館蔵
瓦をテーマに浮世絵を紹介する今展。葛飾北斎(1760~1849)の代表的風景版画シリーズからの1枚は、画面手前の大屋根と遠景の富士山が相似形をなす北斎ならではの構図が目をひく。
大屋根の建物は、現在も東京・浅草にある東本願寺の本堂で、もとは神田にあったが1657年の大火で現在地に移った。本作は巨大な鬼瓦をいただく屋根と同じ高さからの眺望。大屋根に上って作業する数人の職人が描かれ、鬼瓦の大きさが強調されているという。
「たこが天高く舞い上がるほどの強風と、どっしり構えた大屋根。青を基調に静と動を大胆な構図で描いているのも本作の魅力です」と、主任学芸員の井上あゆこさんは話す。