二代歌川広重 1859年 36.3×25.2㌢
高浜市やきものの里かわら美術館・図書館蔵
名古屋城のシンボル「金のしゃちほこ」を、二代歌川広重(1826~69)が名所絵として描いた本作。シャチのあごが棟に食い込み、まるで屋根にかみついているよう。大きな目はこちらを見つめているようにも見える。「ユーモラスな姿が強調して描かれている」と、主任学芸員の井上あゆこさん。
シャチは、虎や竜のような頭、魚のような胴体をした空想上の生き物。海にすむことから火よけの守り神とされ、雌雄一対で棟の両端に飾られた。名古屋城の金シャチは2㍍超の全身に金の薄板を貼り付けた豪華なつくりで、築城を命じた徳川家康や約260年にわたり居城とした尾張徳川家の権威を誇った。
屋根は黒く描かれているが、実際は銅瓦がふかれ、赤褐色からさびて緑青色に変化したといわれる。「城のイメージや図案を参考にして描いたのでは」と井上さんはみる。