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犬飼現八信道 犬塚信乃戌孝

高浜市やきものの里かわら美術館・図書館「浮世絵師の見た甍(いらか)」

歌川国芳 制作年代不詳 36.2×49.8㌢
高浜市やきものの里かわら美術館・図書館蔵

 江戸時代にベストセラーとなった、曲亭馬琴の長編小説「南総里見八犬伝」の一場面を描いた本作。策略にはまって追われた犬塚信乃と捕物名人の犬飼現八が、互いに同志と知らず戦う場面は、歌舞伎でも見せ場の一つだ。


 舞台は芳流閣と呼ばれる架空の建物の屋根の上で、虎や竜、朱雀の飾り瓦が描かれる。「実際の飾り瓦にはあまりないカラフルな彩色。豪華絢爛な建物を表現したのだろう」と、主任学芸員の井上あゆこさん。


 一方で丸瓦のみが並ぶ屋根の描写に違和感があるという。「平瓦がないのは不自然で、イメージを先行させて描いたようだ」


 武者絵の名手である作者の歌川国芳(1797~1861)は、芳流閣の対決場面を繰り返し手がけた。今展では、国芳の3点とともに弟子の月岡芳年が同場面を描いた縦長の1点も並ぶ。

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