セラミック(京都の土)
2022年 直径2.5㌢×厚さ5㍉
小さな青色の「粒」が、展示室に降り注いでいるようだ。その数、千個以上。造形作家の石井春がセラミックで「しとしとと静かに降る雨」を表現した。
素材として京焼の土を選んだ。ポルトガルの装飾タイルに魅せられて約30年、現地と日本を行き来して活動してきた石井は京都に暮らした経験もある。京都の寺社や庭園の雰囲気にも影響を受けたという。
本作を竹中大工道具館(神戸市)で初公開した際は、粒を壁一面にちりばめたが、今展ではテグスを使って立体的に展示する。窓から差す光を受け、床面に丸い影をいくつも落とす。
展示室は、土管工場だった築100年余りの建物。建築とのコラボレーションを多く手がけている石井は、「建築がとても好き。建物や空間との関係にはとても気を使う」と話す。