1961年 92.3×122.6㌢
紙本着色 刈谷市美術館蔵
びっしり種が詰まったアケビの実。多数の円で表した花々は、闇夜に燃え立つ炎のよう。1929年生まれ、愛知県豊橋市で活動し1月になくなった日本画家・高畑郁子は初期、幻想的な植物のシリーズを描いた。「まるでエネルギーの塊。感情の赴くまま一心不乱に描く高畑の熱量が表れている」と、学芸員の古池幸代さんは話す。
女学校卒業後、独学で日本画を始めた。豊橋市出身で「画壇の風雲児」と称された中村正義、日本画の革新に挑み前衛作品を多く手がけた星野真吾らと交流し、画風を模索。西洋画に影響を受けた裸婦像や抽象画などの表現を試みた。
本作に多用された円の表現は、後に夫となる星野の同時期の作品にも見られるという。「2人の画風は対照的だが、互いに刺激や影響を受け合ったのだろう」と古池さん。2019年に刊行された夫婦の画集名は「月と太陽の二重奏」だった。
7月23日まで。月、18日休み。