13〜14世紀 徳川美術館
松花(右)は重要文化財
信長、秀吉、家康と戦国三英傑の手を経て伝わった茶壺「松花」=写真右=と「金花」。淡く透明度が高い釉調(ゆうちょう)が特徴の「松花」は足利将軍家に由来すると伝わり、江戸時代の記録にも登場する。「金花」の黄金色の釉薬は、唐物茶壺の中でも類例がないという。
いずれの茶壺も、安土城天守の落成祝いとして信長に贈られた。当時すでに名高い「大名物」で、「隠れなき名物参り ご機嫌斜めならず」と喜ぶ様子が、信長の伝記「信長公記」に記されている。
中国から伝来した唐物茶壺はもともと茶葉の保存容器だったが、観賞用や飾り道具として用いられた。戦功のあった武将にほうびとしても与えられ、一国一城に匹敵する価値があったという。
「由緒ある茶壺は天下人のステータスでもあった」と、徳川美術館学芸員の薄田大輔さんは説明する。
※会期は9月18日まで。