徳川義直(尾張家初代)筆・同賛
17世紀 徳川美術館蔵
徳川家康晩年の肖像は、九男で尾張家初代の徳川義直(1600~50)が描いたものだ。面長でふくよかな顔、福耳、小ぶりな口などの特徴を捉えている。
家康の肖像画は数多く、神格化された「東照大権現像」が各地にある。「本作は息子に見せたであろう飾らない姿、穏やかな表情が特徴」と、徳川美術館学芸員の薄田大輔さん。義直が描いた家康像は本作のほか、義直が創建した名古屋東照宮にも伝わる。
11男5女をもうけた家康は、子ども宛ての書状も多く残している。病からの回復を喜んだり、習字に励むよう諭したりする内容で、子ども思いの一面を感じられるという。歳の年に生まれた義直にも目をかけたといい、「御三家の筆頭格であり、大坂の豊臣家に対する防衛の要ともいえる尾張を任せた。厚い信頼を寄せていたのだろう」と薄田さんは話す。
※会期は9月18日まで。