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釉下彩透彫(ゆうかさいすかしぼり)朝顔文花瓶

横山美術館「錦光山と帯山」

七代錦光山宗兵衛 明治時代後期
高さ37.6×幅28.2㌢
横山美術館蔵

 全体を包み込むように、大輪の花を咲かせる朝顔。透かし彫りが涼やかな本作品は、京都の窯元・七代錦光山宗兵衛(1868~1927)が、新しい技術や流行を取り入れて制作した。


 植物の有機的なモチーフや流れるような曲線は、アールヌーボーの影響があるという。「宗兵衛は1900年のパリ万博を訪れ、当時全盛を極めた様式を肌で感じたのだろう」と、横山美術館学芸員の北山明乃さん。帰国後は洋画家・浅井忠らの研究団体に参加し、意匠の革新にも取り組んだ。


 柔らかな色味は、彩色後に透明な釉薬を施す釉下彩で表現。透かし彫りやゆがみのない焼成などに高い技術を要する制作には、のちに帝室技芸員となった初代諏訪蘇山が関わったと推測される。


 錦光山は明治中期に窯20基以上、職工250人規模の大工場に発展。昭和初期の不況を背景に閉鎖するまで、京焼の輸出をリードした

 

 ※会期は10月9日まで。

 

 

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