雪をかぶった庵(いおり)の窓にほおづえつき、所在なげに外を眺める坊主頭。ほのぼのとした趣の本作は、京都で活躍した図案家・画家の神坂雪佳(1866~1942)がデザイン、陶芸家の河村蜻山が制作した。
パラミタミュージアム学芸員の衣斐唯子さんは、「丸みを帯びた器形や描線が愛らしく、雪佳らしいユーモアにあふれている」と話す。「屋根の大きさが絶妙で、優れたバランス感覚が表れている」
雪佳が手がけたデザインは陶磁器や漆器、染織、室内装飾、庭園など多種多彩。その主題や意匠の手本もやはり、装飾性豊かな琳派だった。特に調度類にも積極的に取り組んだ尾形光琳の柔軟な創作姿勢に共感していたという。
多くの工芸家と共作した雪佳は明治後期、図案と工芸の研究団体を立ち上げるなど、京都の図案界の先頭に立った。
※会期は11月26日まで。