末広がりの形が繁栄を表す扇は、初夢に見ると縁起が良い「一富士、二タカ、三なすび」に続いて「四扇」とも言われる吉祥の象徴だ。扇形の平鉢に松竹梅が描かれた本作はめでたさを強調する。
古清水とは、清水焼などの磁器が誕生する前に京都で作られていた色絵陶器。「京焼の祖」と呼ばれる江戸前期の陶工・野々村仁清の作風にならった優雅な絵付けが特徴だ。側面の松の文様、一回り小さな扇形の高台など、細部にも吉祥のモチーフが。
「松竹梅文様と口縁に金彩が施され、気品を高めている」と、桑山美術館学芸員の前田明美さん。「繊細に見えるが、筆致に大胆さもある。陶器ならではの温かみも魅力」と解説する。
新年最初の今展では、近代日本画と茶道具が中心の同館コレクションから、新春やめでたさを象徴する作品を展示している。
※会期は2月4日まで。