本作は、密教の儀式で用いられる仏具「金剛鈴」の一種。鈴を振り鳴らすことで仏の注意を引き、歓喜させるという。
平安時代、本格的な密教が空海ら留学僧によって中国から日本に伝えられた。本作は現存する金剛鈴としては古式の優品という。
愛知県陶磁美術館学芸員の大西遼さんは、「やきものではなかなか難しいシャープな形が魅力的。シンプルながら密教の世界観が凝縮されている」と説明する。
鈴の上部に付いた五つのとがった爪状のパーツは、古代インドの武器に由来するという。「鋭い切っ先は、武器をほうふつとさせる。インド、東アジア、日本という仏教の空間、時間的な広がりを感じられます」と大西さんは話す。
「祈り」がテーマのコーナーでは同様に爪状のパーツが両端についた金剛杵、金剛鈴と金剛杵(しょ)を置く金剛盤なども展示している。
※会期は4月14日まで。