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美博ノート
五十三次 府中
貨幣・浮世絵ミュージアム「街道SOUND ほいほい、シャクシャク、りんりんりん」
歌川広重 嘉永(1848~54)末ごろ
貨幣・浮世絵ミュージアム蔵
日暮れて間もない時分、遊郭の入り口で、ちょうちんを持った女性と馬上の遊客が言葉をかわす。馬の尻にはひもでつるされた馬鈴。「りんりん」とリズム良く響かせながらやってきたのだろうか。
馬鈴には、旅の安全や厄よけの願いが込められた。一つだけのこともあれば十数個も付ける場合もあり、形も様々だったという。歌舞伎では街道や宿場の場面になると馬鈴の音を模した
囃子
が演奏されるほど、代表的な「街道の音」だった。
本作の舞台は駿府城の城下町(現在の静岡市)。東海道最大規模の宿場だった府中宿からやや離れた場所に、幕府公認の遊郭・二丁町があった。男たちは馬や
駕籠
に乗って出かけたという。
「馬鈴の音や柳の葉のこすれる音、男女のささやき声、遊郭の奥からは三味線の音まで聞こえてきそうです」と、貨幣・浮世絵ミュージアム学芸員の鏡味千佳さんは想像する。
※会期は5月12日まで。
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