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真珠貝玉箱

三重県総合博物館「パール 海の宝石、神秘の輝き」

16世紀 高さ15.5×縦15.8×横7.5センチ
徳川美術館蔵
 金銀と真珠が織りなす細工に、天下人も魅了されたのだろう。本作は東南アジアで制作され、貿易により徳川家康が入手したと考えられる小箱。3代将軍家光の長女・千代姫の手に渡り、婚姻により尾張徳川家に伝来した。全体を覆うのは、金銀の細い線を透かし彫りのように組み合わせた葡萄(ぶどう)唐草文。金の台座には天然真珠141粒が取り付けられ、さらに爪の先ほどの金細工の動物があしらわれている。
 
 天然真珠は、生きた貝の中に混入した異物を真珠層が包み込み、長い年月をかけて生成される「偶然の産物」。数千個の貝から1個採取できるかというほど希少といい、世界では古代から高貴な人々が宝飾品として愛用してきた。
 
 「美しい形をした真珠はさらに貴重だった。作り込まれた細工はもちろん、天然真珠が多く用いられていることにも驚きます」と、三重県総合博物館学芸員の甲斐由香里さんは説明する。
 
 
 

 

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