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古川美術館「追悼 篠田桃紅 107年のキセキ展」

リトグラフ、手彩 1986年 200×110センチ

 水墨抽象の表現を切り開いた美術家・篠田桃紅(1913~2021)の活動は、装丁、随筆、壁画やレリーフなど建築に関わる仕事と多岐にわたった。中でもリトグラフは1960年代から半世紀にわたり、千種類を超える作品を手がけた。
 縦2mの本作は、リトグラフ作品の中でも特大サイズ。「墨の濃淡が表現され、リトグラフならではの独特のにじみの表情もある」と、古川美術館学芸員の小柳津綾子さんはみる。
 桃紅は刷り上がった作品の一枚一枚に筆を入れ、手彩色を施した。本作も画面左上から右にかけた銀泥の細い線、画面下に朱の線を加え、面と線のリズムを生み出している。
 長年の制作を共にしたのは、リトグラフ刷り師の草分け的存在だった木村希八(1934~2014)。かすれやにじみなど水墨表現の再現に、木村の技巧がさえる。
 今展ではリトグラフ作品を、美術館分館の爲三郎記念館に展示している。

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