洋画家・北川民次(1894~1989)が自身のアトリエを描いたとされる本作。瀬戸市美術館の所蔵後、初公開となる100号の大型作品だ。
メキシコから帰国した北川は1943年から、妻の実家がある愛知県瀬戸市を拠点に活動した。自宅に隣接したアトリエは、陶器工場の作業場を改造。瀬戸の風景や陶工を描いた。「アトリエへの思い入れが強く、家族もなかなか入ることができなかったそうです」と、同館学芸員の坊田智寿瑠さん。本作を発表した68年に尾張旭市へ転居したが、その後もしばらく瀬戸のアトリエに通っていたという。
手前に描かれたイスは、北川が自らデザインしてアトリエで用いたイスと似ているという。画面奥には、寄り添う母子のモデル。母子像は北川がたびたび描いたモチーフだ。
今展では、同館が近年収蔵した北川のガラス絵なども展示する。