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里見八犬伝

刈谷市歴史博物館「刈谷生まれの雪の殿さま 土井利位」

35.7×75.5センチ 嘉永期(1848~54) 刈谷市歴史博物館蔵 10月29日~11月17日展示

「里見八犬伝」の一場面を描いた役者絵。女性がまとう着物に、雪の結晶を表した雪華文様が舞う。
 雪華文様が衣装や小物などに用いられて流行したのは江戸後期。古河藩主の土井利位(1789~1848)が「雪華図説」に記した雪の結晶図を意匠化したとされる。
 ただ、「雪華図説」は限られた人のみに配られた私家版。利位は当時、大坂城代として大塩平八郎の乱を鎮圧し、幕府の老中へと出世コースを歩んでいた。その立場上、一般に流通することはなかったという。
 文様が広がった理由は、越後の文人・鈴木牧之が北国の風俗を記したベストセラー「北越雪譜」。その中で「雪華図説」が引用され、雪の結晶図が多くの庶民の目に触れた。
 「利位自身も、雪の結晶のデザインを好んだようだ」と、刈谷市歴史博物館学芸員の長沢慎二さん。書状や贈答品にも雪華文様をあしらったという。