有数の古代エジプトコレクションを誇るアメリカ・ブルックリン博物館。来日した約150点の中でも注目作は、「王の頭部」の石像だ。「大ピラミッドを造営したクフ王ではないかと考えられている」と、監修を務めるエジプト考古学者の河江肖剰(ゆきのり)名古屋大学教授は説明する。
像に王の名は記されていないが、その様式からクフ王ら第3、4王朝時代の過渡期のものという。細長い冠は上エジプト地方を象徴する白冠。元は巨大な全身像で、祭りの衣装を身につけた姿だったとみられる。
クフ王は、エジプト北部のギザに高さ約147メートルの大ピラミッドを造営したことで知られる。本作の幅広の顔立ちや大きな耳などが、クフ王と判明している約7センチの彫像と共通しているという。現存するクフ王の像はごくわずかという。本作が来日するのは約40年ぶり。「『クフ王が帰ってきた』と言いたい」と河江さんは話す。