5世紀ごろ、朝鮮半島から窯やろくろの作陶技術がもたらされたことから生まれた「須恵器」。日本の陶磁器の源流とされる。
高温で硬く焼き締める須恵器は、素焼きの縄文土器や弥生土器と違い、液体をためておくことができた。
鳥が真ん中に鎮座した本作は、古墳から出土した副葬品だ。「水を張ると、鳥が湖面を進むように見えるはず。本来耳杯は飲み物用の器ですが、その用途ではなさそうです」と話すのは、学芸員の大西遼さん。湖畔を散歩するかのような両側の動物は、斑点と角の有無でつがいのシカだと分かるという。
持ち手(耳)にいるイヌだけが違う方向を向き、その先には何かが欠損した跡がある。大西さんは向き合うようにイヌがもう1匹いて、反対側の耳と合わせて4匹いたのではないかと推測する。「多様で独特な形が魅力の須恵器。古代の社会や美意識を自由に想像してみてほしい」