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伝統楽器カンクレス

「リトアニア バルトの森に響く歌」
名古屋市博物館

20世紀初め リトアニア国立博物館蔵

 ユネスコ無形文化遺産の一つに、バルト三国各国で開催される「歌と踊りの祭典」がある。リトアニアでは約100年前に始まり、今では4年に1度、1週間ほどかけて盛大に民俗音楽と舞踊が披露される。

 「カンクレス」はリトアニア音楽を代表する、琴に似た弦楽器だ。学芸員の木村慎平さんは、「ポロンポロンと優しい音色」だという。人々は木や骨、動物の角や粘土といった身の回りの物でカンクレスやバイオリン、角笛などの楽器を作り奏でてきた。音色を楽しむ以外にも、互いを呼んだり家畜を落ち着かせたりするために使われたそうだ。「自然崇拝の文化を持つリトアニアでは、カンクレスの音色は、木に宿った人間の魂の語りとも言われます」

  農耕や牧畜の際に歌われてきた多声合唱「スタルティネス」も、リトアニアの音楽に欠かせない。木村さんは、音の高さが違う白樺(しらかば)の角笛を羊飼いたちが一斉に吹くと、まるでスタルティネスの響きのように聞こえると話す。