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おもちゃのヘラジカ

「リトアニア バルトの森に響く歌」
名古屋市博物館

ヨナス・クニェージャ「おもちゃのヘラジカ」 2011年 リトアニア国立博物館蔵

 おもちゃのヘラジカの作者、ヨナス・クニェージャ(1929~2020)は帝政ロシアから独立を果たしたリトアニアに生まれ育った。

 少年時代、彼は牧畜を手伝うかたわら、木を彫って動物のおもちゃを作るようになったという。学芸員の木村慎平さんは「木のおもちゃは動物が出てくる寓話(ぐうわ)を表現しています。子どもはこのような物を通じて、自然崇拝の文化を学んだのでしょう」と話す。

 1940年のソ連による強制併合で、約1割の国民がいわれのない罪でシベリアに強制移住させられたという。クニェージャもその1人で、木村さんは「10年近くに及ぶと思われる長い時間をシベリアで過ごしたのでは」とみている。

  スターリンの死後、抑留者の多くは祖国に戻り、クニェージャも生活のため懸命に働いた。1990年、リトアニアは独立を回復。妻を亡くして1人になった彼は、再びおもちゃを作り始めた。「作家の歩みと国の歴史が重なってみえます」