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「ペリー・T.ラスボーン」(1948年) Gift of Perry T.Rathbone 1992.398 Photo © 2014 MFA,Boston |
「身体」をテーマに版画や油彩、写真を展示する同展。第2次世界大戦以降、「人の姿」に託した様々な思いを紹介する。
片足をあげ、ちょっと格好つけた男性。くつろぐ様子の中にも威厳や風格があり、英雄的な雰囲気が漂う。のちに米ボストン美術館館長となる人物だ。
作者のベックマン(1884~1950)は第1次世界大戦後、人間の欲や死を風刺的に表現したドイツ出身の画家。ナチスが台頭すると「退廃芸術家」の烙印(らくいん)を押され迫害を受けた。
本作が描かれたのは、米国に移住した戦後のこと。支援したのが、このラスボーンだった。
「ようやく手に入れた穏やかさを感じる」と学芸員の三輪祐衣子さん。戦争に翻弄(ほんろう)された画家の不信感や懐疑心が、浄化されつつあったのかもしれない。