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初音蒔絵(まきえ)鏡台 |
3代将軍家光の娘・千代姫が、尾張徳川家2代・光友のもとに嫁ぐ際、嫁入り道具として持参した化粧道具一式。
「源氏物語」の「初音」の帖(じょう)で、明石の上が離れて暮らす幼い娘におくった和歌「年月を 松にひかれて ふる人に けふ鶯(うぐいす)の 初音きかせよ」を全体の意匠とし、歌の文字がちりばめられている。
室町時代から続く蒔絵師、幸阿弥(こうあみ)家の10代・長重が手がけた国宝。何重にも漆を塗り重ねることで複雑な色合いを生み出し、梅の花の部分には赤いサンゴを埋め込むなど、贅(ぜい)の限りを尽くした。
引き出し付きの台に柱を立て、鏡をかけて使用する。白粉(おしろい)入れやお歯黒を入れる附子(ふし)箱、紅を溶く猪口(ちょこ)などの化粧道具がコンパクトに納められる。