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野村直城「ULTRA KUMAPON」 |
見た瞬間に、見る人の五感をくすぐる――そんな陶芸作品を集めた企画展が開催中だ。出品作家25人による、実に多様な造形の作品計86点が並ぶ。
展示室でひときわ目をひく本作は、黄金色に輝くクマのオブジェだ。幅65×奥行き65×高さ90センチの大きさに圧倒される。一方で、その表情は口角をあげたような笑顔。抱きつきたくなる衝動にかられる。
クマの顔と体はぷっくり盛り上がる点で埋め尽くされている。作家が筆でひとつひとつ透明の釉薬(ゆうやく)を落として施した。無数の点々に鑑賞者の姿が映り込む。学芸員の山口敦子さんは「作品を鑑賞しているようで、逆に自分を見透かされているような気持ちになる」とみる。愛らしさの裏にちょっぴり不気味さを秘めたクマだ。