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出和絵理「Forest」

世界とつながる本当の方法(岐阜県現代陶芸美術館)

 


美博ノート
出和絵理「Forest」

 

 冬の薄暗い灰色の空のもと、真っ白な森がほんわりと浮かび上がる――そんな光景を想起させる。

 陶芸では一般的に、作品の最終的な造形や色は窯の火にゆだねられる。しかし、本作はそれと異なる。薄い花びらを集めたような造形は、半楕円(だえん)形のパーツを接着剤でつなぎ合わせたものだ。パーツは磁土を麺棒で厚さ約1ミリ程度に均一にのばしてひとつひとつ成形し、焼成している。パーツごとの間隔は手作業で整えている。

 石川県で生まれ育った出和絵理は大学で陶芸を学んだ。「はかなげでも強さがある作品」を追求するため、透過性のある磁器と現在の手法を選んだ。

 今展は、本作のような作品を四つ並べてひとつの作品群として展示している。

(2015年1月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)