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渡辺泰幸「土の音」 |
「みて・きいて・かんじる陶芸」との今展サブタイトル通りの作品がある。
展示室の床に無造作に置かれた陶の球――直径約10~26センチの大小約100個の土鈴だ。鑑賞者はそれらをスティックでたたいたり、振ったり、転がしたりして、「土の音」を楽しめる。
音を創作のテーマとする美術家・渡辺泰幸が手がけた本作は、20年来続くシリーズのひとつだ。作品に触れて音を楽しむことを通して、人と人、人と作品のコミュニケーションの場を作るのが狙いだという。
学芸員の山口敦子さんは、作品から出る音を「人間の眠っていた本能を刺激するよう」と表現する。鈍く鳴る低い音、乾いた高い音。鑑賞者それぞれが、作品に触れ、さまざまな音を響かせていた。