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加山又造「音」 |
ハギの花が咲く庭の草かげから聞こえる物音に、ハッと目を向ける猫の親子――。「まるで時間や空間がぎゅっと凝縮されているよう」と学芸員の門田彩さんは話す。
音から始まる一瞬をとらえたのは日本画家の加山又造(1927~2004)。長毛で青い目の猫は、加山が好んで描いたというヒマラヤンだ。細かな線で1本1本描き込まれた毛や、鋭く光る爪が目を引く。
加山は、花や動物などを題材とする花鳥画を得意とした一方で、新たな日本画の表現にも取り組んだ。伝統的なモチーフであるハギの花と、西洋の猫という組み合わせが、作品にモダンな雰囲気を生み出している。