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加山又造「音」

音からうまれる色ワールド(メナード美術館)

 


美博ノート
加山又造「音」

 

 ハギの花が咲く庭の草かげから聞こえる物音に、ハッと目を向ける猫の親子――。「まるで時間や空間がぎゅっと凝縮されているよう」と学芸員の門田彩さんは話す。

 音から始まる一瞬をとらえたのは日本画家の加山又造(1927~2004)。長毛で青い目の猫は、加山が好んで描いたというヒマラヤンだ。細かな線で1本1本描き込まれた毛や、鋭く光る爪が目を引く。

 加山は、花や動物などを題材とする花鳥画を得意とした一方で、新たな日本画の表現にも取り組んだ。伝統的なモチーフであるハギの花と、西洋の猫という組み合わせが、作品にモダンな雰囲気を生み出している。

(2015年2月18日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)