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都市型美術館のパイオニア

(Bunkamuraザ・ミュージアム)

レオ・レオニ展で「CA4LA」とコラボした帽子
レオ・レオニ展で「CA4LA」とコラボした帽子
レオ・レオニ展で「CA4LA」とコラボした帽子 SOMARTAの2012秋冬の東京コレクション 来年1/2~3/9開催の次回展「シャヴァンヌ展 水辺のアルカディア ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界」のポスター

 都心にありながら映画、コンサート、演劇それにおいしい食事、そしてアートが一か所で楽しめる。そんな夢のような場所が20年以上も前から渋谷にあります。そう「複合文化施設Bunkamura」です。最近ではレストランを併設している美術館は決して珍しいものでなく、むしろ必須の付帯施設となっていますが、コンサートホールに劇場、映画館まで備えたミュージアムは、まだまだ日本ではほとんど存在しません。とりわけ都心では、地価をはじめとする様々な問題があり、「文化の殿堂」を作りたくても作れないのが現状です。

 そんな中にあって、今から20年以上も前の1989年(平成元年)に日本初の大型複合文化施設の一部として呱々の声を上げたBunkamuraザ・ミュージアムは、都市型美術館の先駆け的存在でもあります。都市生活者のライフスタイルに合わせるように設定された開館時間、平日19時まで(金曜・土曜日は21時まで)や、展覧会開催期間中無休といった館の方針は、今でこそさほど真新しく思えないかもしれませんが、開館した当初は画期的なことでした。

Museum Gathering またBunkamuraザ・ミュージアムならではの活動として最も着目すべきこととして、Museum Gatheringがあげられます。アートはもちろん、様々なジャンルの方をゲストとして招いての座談会を継続的に開催しているのです。「より多くの方々に気軽に美術を楽しんでいただきたい」というBunkamuraの理念にのっとり、普段から展覧会に慣れ親しんでいる人以外にも、アートの素晴らしさを知ってもらいたいとの思いから開催している独自のプロジェクトです。

 フランス料理のシェフ曽我部俊典さんが印象派、詩人の日和聡子さんがグランマ・モーゼス、建築家の近藤康弘さんがポンペイ、ラジオパーソナリティーの秀島史香さんがだまし絵、ダンサーの首藤康之さんがフランダース、そして華道家の假屋崎省吾さんがルドゥーテをそれぞれ語っています(これらはほんの一部です)。アートだけでなく気宇壮大にとらえ展覧会を開催しているBunkamuraから今度も目が離せません。

 Bunkamuraザ・ミュージアム
 
http://www.bunkamura.co.jp/museum/index.html/

 Museum Gathering
 http://www.bunkamura.co.jp/gathering/index.html

 

耳よりばなし

人気ブランドとのコラボ商品に注目

 Bunkamuraザ・ミュージアムでは、人気アパレル・ブランドとのコラボグッズも毎回話題となります。廣川玉枝さん率いるファッション・ブランド「SOMARTA(ソマルタ)」、帽子のセレクトショップ「CA4LA(カシラ)」やソックスブランドの「アンティパスト(ANTIPAST)」など、他館のミュージアム・ショップではお目にかかれないような異色の展覧会グッズに出会えます。個人的にはCA4LAが展覧会をモチーフにゼロから作り出す帽子に毎回注目しています。造花職人の岡田歩さんが作るコサージュも要チェックです。

 朝日イベント・プラス
 http://shop.asahi.com/eventplus/1.1/570/
 「アンティパスト(ANTIPAST)」の靴下と、「CA4LA(カシラ)」の帽子など購入可能。


データ

Bunkamuraザ・ミュージアム

〒150-8507
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
開館時間:午前10時~午後7時(入館は午後6時30分まで)
毎週金・土曜日は午後9時まで(入館は8時30分まで)

展覧会会期中無休(展覧会によって展示替えのための休館などあり)
電話:03-3477-9413
URL:http://www.bunkamura.co.jp/museum/index.html


 【筆者プロフィール】

中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/

(2013年11月25日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)