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都の歴史の上に建つ博物館

(京都国立博物館)

京都国立博物館 平成知新館
京都国立博物館 平成知新館
京都国立博物館 平成知新館 平成知新館2階から蓮華王院(三十三間堂)方面を望む 二重円でしるされた、方広寺南門の柱を支えていた礎石跡 「逆さ富士」のように水面に映る本館(明治古都館) 平成知新館展示室 2層吹き抜けの空間

 2014年9月13日、京都の新しい文化発信の顔として京都国立博物館 平成知新館が華々しくオープンしました。1966(昭和41)年に建てられた平常展示館を全面リニューアルした平成知新館の建築設計を担当したのは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)新館や、東京国立博物館法隆寺宝物館などを手掛けた建築家、谷口吉生氏です。

 展示空間には、日本的な空間構成が取り入れられており、収蔵品を中心に京文化をこころゆくまで堪能できるよう設計されています。また展示室全体を守る免震装置、LED照明、超高透過ガラスを採用した展示ケースを備えるなど最新鋭の設備も整えています。

 平常展示館建て替えのための設計が始まってから実に16年もの歳月をかけた一大プロジェクト。これだけの長期間に渡ったのには京都ならではの理由があります。京都国立博物館が建つこの地には、かつて豊臣秀吉・秀頼父子によって建立された巨大な大仏殿を中心とした方広寺の伽藍(がらん)がありました。平成知新館の建設に先だち数年にわたって京都市埋蔵文化財研究所の手で旧平常展示館周囲の発掘調査が行われ、その方広寺の遺構の一部が地表1メートルの場所から見つかったのです。

 実は、平成知新館はその遺構をも見事に建築動線の中に取り入れているのです。新しい出入口は、かつて方広寺の南門が建っていた場所に合わせてあります。出入り口付近(館内外)に二重円で標された、方広寺南門の柱を支えていた礎石跡は決してお見逃しなきように。更に、敷地南側に位置する蓮華王院(三十三間堂)の南大門の中心線から、博物館の南門の中心を通る歴史的な南北軸を想定し、その軸線上に新しい出入り口を定めて建築が配置されています。「平成の南北線」を心の目でしっかり確認して下さい。

 京都東山に向かい設定された「明治の東西線」上に建つ洋風建築の本館(明治古都館)と統一感を持たせるため、軒と庇の高さを合わせるなど建物同士の関係性を重視すると同時に、造形上は対比的な建築となっている点も大きな見どころのひとつです。

 

耳よりばなし

 京都国立博物館 平成知新館は鑑賞者に2種類の鑑賞動線を用意しています。ひとつは1階エントランスを通り、そのまま展示室へ入る動線。もうひとつは、一度エレベーターで最上階(3階)まで昇り階段を下りながら展示室を観てまわる動線です。前者はピンポイントで展示品を観たい時に有効です。入り口で各階の展示室をデジタルサインで確認してから個別に巡ります。後者は館全体を隈なく見て回りたい人向けです。3階から全室を巡る動線が用意されています。時間の有無によりうまく使い分けてみましょう。ちなみに各階には吹き抜けの空間が設けられており、現在地を把握しやすい工夫がなされています。


データ

京都国立博物館

〒605-0931
京都市東山区茶屋町527
開館時間:火曜日~日曜日 午前9時30分~午後5時
特別展覧会開催中
火~木・土・日 午前9時30分~午後6時
金曜日 午前9時30分~午後8時
(入館は各閉館の30分前まで)

休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始
電話:075-525-2473(テレホンサービス)
URL:http://www.kyohaku.go.jp/


 【筆者プロフィール】

中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/

(2014年10月6日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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