「美術館に来ておいしいものが食べられないなんてあり得ない」という名言を残したモダニズム建築の巨匠であり、東京都美術館を設計した建築家の前川國男。その言葉通り、東京都美術館には美食家の舌をうならせる評判のレストラン「IVORY(アイボリー)」があります。
フレンチをベースに現代風にアレンジした日本人の口に合う洋食を提供するレストランとして2年半前に東京都美術館がリニューアルした際に、新たにオープンしたIVORYの店内は、美術館内にあるレストランとは思えない雰囲気のある空間が特徴のひとつです。
展覧会のついでに食べに行くというよりは、わざわざ足を運びたくなるそんなぜいたくなお店の魅力に魅せられて毎日のように訪れるお客さんもいらっしゃるそうです。美術館内にあるにもかかわらずちょっと分かりにくい場所にあるのも、何やら「隠れ家」的なおもむきがあり、リピート率を高めているのかもしれません。
IVORYは70店舗もレストランを展開する会社が運営していることもあり、徹底したおもてなしの精神が随所で貫かれています。店内に一歩足を踏み入れると、どこかの邸宅へ迷い込んでしまったかのような錯覚に陥ります。お店の名前でもあるアイボリーのやさしい色合いのゆったりした椅子に身を預け、非日常的な空間であった展覧会会場の続きとして食事を楽しめるそんな特別の場所です。
クオリティーの高い名画を鑑賞した後の余韻をそのまま楽しめるよう、料理にもこだわりが見られます。中でも、旨みがギュッとつまったグレービーソースをかけて頂く特選牛のローストビーフはここのお店自慢の一品です。注文を受けるとシェフが各テーブルの目の前でローストビーフを切り分けサーブしてくれます。
デザートは特製チュリージュビリーがお勧めです。こちらもまた目の前でフランベしてくれます。落ち着いた照明の下でデザート皿にたち上がる炎。満足度もぐっとあがり、会話も一層はずみ、よりおいしく感じられます。
是非一度足を運んでみてください。人気店ですので予約してから行かれることをお勧めします。小グル―プに対応可能な個室も用意されています。
http://www.ivory-restaurant.com/
東京都美術館と東京藝術大学が連携して行っている「とびらプロジェクト」をご存じですか。平成24年春に東京都美術館がリニューアルオープンしたのを契機に藝大と連携してスタートさせた活動です。このプロジェクトの特筆すべき点は、美術館や大学職員が表に立つのではなく、アート・コミュニケーター(愛称:とびラー)と呼ばれる公募で選ばれた一般の人たちが主体となって活躍する点にあります。とびらボードでGO!、イロイロとび缶バッジ、トビカン・ヤカン・カイカン・ツアーなどなどこれまでの美術館スタッフだけでは思いもつかなかった活動をしています。気軽に参加できるイベントも盛りだくさんです。公式サイトをチェックしてみて下さい。http://tobira-project.info/ |
東京都美術館
〒110-0007
東京都台東区上野公園8-36
開館時間:午前9時30分~午後5時30分
特別展開催中の金曜日9時30分~20時
※いずれも入館は閉館時間の30分前まで
休館日:第1・3月曜日。特別展・企画展は毎週月曜日休室(祝日・振替休日の場合は翌日)
電話:03-3823-6921(代表)
URL:http://www.tobikan.jp/
【筆者プロフィール】
中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/