読んでたのしい、当たってうれしい。

現在
58プレゼント

米ニューヨークで岡山デニムの魅力伝える

「i&Co.」 石井愛子さん

ザ・チャレンジャー
「岡山デニム」の魅力を語る石井愛子さん
ザ・チャレンジャー ザ・チャレンジャー ザ・チャレンジャー

 岡山県倉敷市児島地区の干拓地では江戸時代から綿花が盛んに栽培され、繊維産業が発展。1960年代、ジーンズ生産が始まり、独自の染色や加工技術も加わって、高品質な「岡山デニム」が誕生した。そんな「岡山デニム」の技術や魅力を海外に伝えたいと、米ニューヨークを拠点にデニムエプロンを主軸としたブランド「i&Co」(アイアンドコー)を立ち上げ、現地の飲食店向けに販売する石井愛子さん(33)に話を聞いた。

(秦れんな)

 

 ――「岡山デニム」とどのように出会ったのでしょう。

 私は、大学卒業後、中小企業の求人広告の営業や飲食店のコンサルタント会社の仕事を経験しました。いつか、自分で起業したいと思うようになり、ビジネスを実地で学ぼうとニューヨークへ渡りました。最初の1年間は語学学校に通いながら様子見。たくさんの人に会うようにしていました。そんななか、日本食レストランの出店を計画していた知人のお手伝いをしたことがきっかけとなり、再び飲食店コンサルタントの仕事を始めることに。でも、思い描いていた夢とは何か違うような気がしていたんです。
 渡米して4年後の2015年、東京で働いていた両親が、退職を機に2人の出身地である岡山に移住することになったんです。それまで岡山のことはほとんど知りませんでした。一時帰国の折、改めて岡山県内をまわってみることにしました。
 岡山はデニムが有名だと聞いて訪ねた、倉敷市児島の「児島ジーンズストリート」で、古民家を改装したお店「BLUXE(ブリュックス)」を見つけました。その店主との出会いが、今のビジネスにつながっています。店主から「岡山デニム」について学ぶうち、私の飲食店コンサルタントの経験や知識を生かして、何かできるかもしれないと思いました。

 ――デニムエプロンの発想はどこから来たのですか。

 「岡山デニム」をどう飲食店と結び付けようかと考え、お店のユニホームとして使えるエプロンを思いつきました。ニューヨークではそのころ、日本食がブームになっていたので、ビジネスをするにはいい環境だとも考えました。また、「岡山デニム」が海外で注目され始めていることもポイントでした。環境や社会に配慮した商品を選択するエシカルコンシューマリズムという言葉が聞かれるようになり、また、近年のニューヨークでは「いい物主義」が根付いているように感じます。高くても質のいいものを求めているんですよね。

 ――「岡山デニム」の魅力は何ですか。

 丈夫で長持ちする、質がいい、使えば使うほど味が出る。デニムはアメリカを象徴する物で受け入れやすいし、日常的。「岡山デニム」は日本の技術や魅力を伝えやすいツールだと思います。15年秋にブランドを立ち上げたとき、岡山県などが主催する「ビジネスプランコンテスト」へ参加しないかと声をかけられ、参加しました。最優秀賞とはなりませんでしたが奨励賞を頂き、活動をアピールする機会になりました。

 ――現在どのように注文を受けているのですか。

 店舗は持たず、インターネットや口コミなどを通じて、主に企業からユニホームなどの注文を受けています。新規出店するところから問い合わせをいただくと、サンプルを持って行き、まずはお店の雰囲気や内装を見たり、仕事の内容、従業員の男女比率などをヒアリングしたりするんです。今までのコンサルタントの経験が生かされるところでもあります。
 たとえばラーメン屋さんだったら、動きやすさが大事。生地はどれくらいの厚さにするか、ポケットはどの位置にすると使いやすいかなど、希望も聞きながら、その場でデザインをラフで描いてみるんです。それを基に岡山へ発注し、商品化します。

 ――今後ブランドの描く展望を教えてください。

 最近、マンハッタンにオープンするおすし屋さんの「のれん」を作りました。今後はエプロンだけでなく、デニムを活用したお店の内装なども手掛けていきたいと考えています。
 個人の方の注文も受けられるようにしていきたいです。また、「岡山デニム」を使ったコラボレーション商品などで、海外進出を目指す職人さんや企業のお手伝いができたらいいなと思っています。

 

プレゼント

岡山デニムのトートバッグ

「岡山デニム」のトートバッグ(非売品)を5人に
プレゼント!

※応募には朝日マリオン・コムの会員登録が必要です。以下の応募ページから会員登録を行って、ご応募ください。

→終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。

 

《「岡山デニム」とは》

 「岡山デニム」は、倉敷市児島地区や井原市を中心に生産されるデニム生地・ジーンズやバッグなどデニム製品などを指す。

 一帯には、染色、生地作り、縫製、洗い加工、仕上げまで関連企業が集積し、一貫生産ができるインフラがそろっている。

 児島は「国産ジーンズ発祥の地」といわれ、2009年、空き店舗が目立っていた商店街をジーンズで再興・観光地化しようと「児島ジーンズストリート」が発足。現在400メートルほどの通りに、ジーンズ店や雑貨、飲食店など38店が連なり、「繊維の町」を代表する観光名所となっている。

岡山デニム01

 「i&Co.」は、職人技術を用いて、5年、10年後の経年変化をイメージした物作りをしている。使用するデニムは糸をロープのように束ね、インディゴの染料に繰り返し浸して染める「ロープ染色方法」を施し、

岡山デニム02

旧式力織機で織りあげた「セルビッチデニム」。凸凹感のある表情豊かな生地が特徴で、履き込むことにより色の縦落ちやアタリが楽しめるという。

 

会社データ

 ◆i&Co.

 http://icojapan.com

 ◆日本の取り扱い店

 BLUXE 本店
 郵便番号711-0913
 岡山県倉敷市児島味野2-3-18
 TEL(086・470・5520)

 BLUXE 倉敷店
 郵便番号711-0054
 岡山県倉敷市本町5-8
 TEL(086・436・7057)

(2017年12月18日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)