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子どものころから、テレビで放送されるたびに見てしまいますね。そういう意味で人生の中にスルッと入りこんできた映画です。子どもが理解して飽きずに最後まで見られるというのがすごい。
主人公の少年ケビンは5人きょうだいの末っ子。クリスマス休暇でパリに家族旅行に行くはずが、前日の兄弟げんかのお仕置きで母親から屋根裏部屋に寝るように言われて忘れられ、置いてきぼりになってしまう。私も兄と姉がいる末っ子だから、ケビンのように兄や姉からおもちゃにされる感じはよくわかる。可愛がられているとは思うんですけど。だから早く上京して一人暮らしをしたいって思っていましたね。
この映画で好きなのはジョン・ウィリアムスの音楽。映像とすごく合っていて、作りがプロの仕事だなと実感します。特に、ケビンが空き巣狙いの二人組から家を守るためにクリスマスツリーの飾りを床に置くなど、さまざまなトラップを仕掛けていく時の音楽がかっこいい。すごく馬鹿らしいことをしているようにも見えるシーンなんだけど、音楽のおかげでこれから戦うんだなっていうのを感じさせます。
映画にとって音楽は、料理にとっての味付けっていうくらい、重要なんじゃないかなと思いますね。いい音楽だとメロディーが印象的で、頭にスーッと入ってくる。私もこういう細部にまで気を配った繊細な仕事がしたいです。
聞き手・岩本恵美
監督=クリス・コロンバス
音楽=ジョン・ウィリアムス
製作=米
出演=マコーレー・カルキン、ジョー・ペシほか おおいま・よしとき
1989年生まれ。代表作「聲(こえ)の形」で、2015年手塚治虫文化賞新生賞を受賞。同作の劇場アニメ化が決定している。 |