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宮西達也さん(絵本作家)
「続・夕陽のガンマン」(1966年)

善玉、悪玉、卑劣漢 三者三様の魅力

 宮西達也さん(絵本作家)「続・夕日のガンマン」(1966年)

 

 西部劇、好きですよ。中でもこの作品のようなマカロニ・ウエスタン(イタリア製西部劇)は、ドンパチも多くわかりやすくて、本当に見ていて楽しいです。

 タイトルを日本語に訳すと「善玉」「悪玉」「卑劣漢」。舞台は南北戦争末期の西部。「卑劣漢」のトゥーコは「善玉」ブロンディと組んで賞金稼ぎをしていました。2人は仲間になったり離れたりしながら、南軍の兵士が墓地に隠したという20万ドルを探します。同じく20万ドルを追っていた「悪玉」のエンジェル・アイも加わり、最後は3人の決闘に。

 ここは結末を知っていてもドキドキしますね。あとはトゥーコが墓場で金貨が隠された墓標を探すシーンも好きです。彼がおもちゃを探している子供みたいに無邪気に走っていて、ギラギラしたシーンが多い中で、何だかほっとしました。

 それぞれのキャラクターがとってもよく出てて、3人とも好きなんですよ。でも一番かっこいいのはクリント・イーストウッド。ポンチョが似合ってるよね。イラストの背景もその模様なんです。

 この作品は骨組みがしっかりしていて、撮り方もうまい。絵本を描くときも同じで、カット割り次第で色んな構図が描けるでしょ。読者がはっとするような見せ方や、いかに最後までページをめくってもらうかなどは参考になりますね。

 3人のうちイーストウッドだけがまだ生きている。彼は監督として西部劇も撮りましたよね。いつかこんな西部劇を作ってほしいな。

聞き手・相田香織

 

  監督・共同脚本=セルジオ・レオーネ
   製作=伊
   出演=クリント・イーストウッド、リー・バン・クリーフほか
みやにし・たつや
 1956年生まれ。代表作に「ティラノサウルスシリーズ」など。9月23日まで、世田谷文学館で「宮西達也ワンダーランド展」が開催中。
(2015年7月31日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)