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初めて見たのは中学生の頃。「なんて洗練された世界だろう」と感じました。ジバンシィの衣装を着たレジーナ役のオードリー・ヘプバーンはその代表。自分が生まれる前のデザインやファッションに興味を抱くきっかけになりました。
夫との離婚を決意するレジーナは旅先で、素性のわからないピーターに出会い、心をひかれます。パリの自宅に戻ると夫は殺害されていて、夫が第2次世界大戦中、情報機関に所属して巨額な金を米政府から横領し、隠し持っていた事実を知ります。金を譲り受けたと疑われるレジーナは、かつての情報機関の仲間3人からピーターとともに追われる。
印象的なのは列車から死体が転がり落ち、矢印のついた帯の渦巻きのアニメーションが始まる冒頭のタイトルバック。 「007」シリーズと同じデザイナーが手がけているという点も興味深いです。
アルフレッド・ヒチコックの影響も感じます。ヒチコック作品でなじみ深いケーリー・グラントがピーター役で出ていたり、主人公が事件に巻き込まれていく話だったり。監督のスタンリー・ドーネンが「自分だったらサスペンスをこう撮る」と考えた映画ではないかな。
コメディー要素も多く、ジェームズ・コバーンら癖のある俳優たちのキャラクター付けのためか、登場の仕方やエピソードも面白い。お金の行方や殺人犯は誰なのかといった話の展開もうまく、よくできたエンターテインメントだと思います。
聞き手・神谷実里
監督=スタンリー・ドーネン
製作=米
出演=ケーリー・グラント、オードリー・ヘプバーン、ウォルター・マッソーほか うえすぎ・ただひろ
1966年生まれ。広告や雑誌などで活動。米アニメ映画「コララインとボタンの魔女 3D」や「ベイマックス」の制作に携わる。 |