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中学生の時、レンタルビデオで見ました。「女性の生き方」を描いた作品が面白いと、この映画で初めて思いました。
夫との関係に悩んでいた主婦のエヴリンが老人ホームに入所している女性ニニーから、イジーとルースという女性の思い出話を聞きます。話の舞台は人種差別が厳然としてある、1900年代前半の米南部アラバマ州。
イジーは兄の事故死をきっかけに、ルースと強い絆で結ばれ、やがて2人は駅前にカフェを開きます。私が一番好きなのはルース。暴力夫を持った自分の人生を静かに受け止める強さがあります。イジーは世間の人にどう見られようと気にしない。黒人も客として対等に受け入れている。そんな2人の話を聞いてエヴリンは勇気づけられていきます。
夫からのDVや人種差別、女性が持つ問題意識など、裏には深くて重いテーマがある。だけど全てが軽く爽やかに描かれています。白人至上主義団体(KKK)から暴行された黒人の使用人、ビッグ・ジョージが助けられるシーンもさらっと描かれ、声高に主張しなくてもいろんなメッセージが込められている。
絵はイジーとルースが聞いた「カモの大群が凍った湖ごと飛び去った」というホラ話を基に、ルースに思いを寄せるスモーキー、事故で片腕をなくしたルースの息子バディ、使用人のシプシーも描きました。過去と現在、二つの時間軸で構成された女性の友情をイメージしています。
聞き手・根津香菜子
監督=ジョン・アブネット
原作=ファニー・フラッグ 製作=米
出演=キャシー・ベイツ、ジェシカ・タンディほか 1980年、東京都生まれ。「月刊コミック@バンチ」(新潮社)で「いつかティファニーで朝食を」を連載中。
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