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この映画の監督・脚本・主演を務めるミランダ・ジュライが大好き。彼女の感覚的な作品には刺激をもらい、創作意欲をかき立てられます。
同棲(どうせい)4年目、35歳のソフィーとジェイソンは、気楽でそれなりに幸せな生活を送っていた。ある日、ケガをしたネコを拾う。このカップルにとってネコの存在は、たとえば結婚や出産など、生活を一変させるものの象徴のように描かれているんです。自分たちの未来を意識した2人は、治療を終えたネコを引き取るまでの30日間、お互い本当にやりたいことをやろうと決めます。
ジェイソンは環境保護団体で木を売るボランティアを始め、ソフィーは毎日新しいダンスを創ることに。だけどなかなか踊れない。焦りや寂しさから、2人はだんだんすれ違っていってしまう。
覚悟を決めて、未知の明日へ行くことは刺激的で楽しい。だけど、今までの自分とさよならをする寂しさもある。そういう微妙な感情、よくわかります。
3年ほど前、DVDで初めて見た時には泣いてしまって。会社を辞め、やっと絵を描くことに向き合った頃でした。才能ないのかな、もうやめようかな、と考えたことも。自分の恋愛も映画の2人と重なる部分があった。終盤の「まだ始まったばかりさ」という言葉に背中を押され、「大丈夫だ」と思えたんです。
あの頃から状況は変わっても、日々模索しています。でも、これを見るといつもほっとするんです。
聞き手・秦れんな
監督・脚本・出演=ミランダ・ジュライ
製作=独・米
出演=ハミッシュ・リンクレイターほか 1982年生まれ。女性誌や広告などを中心に活動。クッションをはじめ刺繍作品も展開。作品集「maegamimami Grab The Heart」(宝島社)が発売中。
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