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舞台となる英国のシェフィールドは、廃れた鉄鋼の街。失業中のうえ離婚した妻に息子の養育費を払う金もない主人公のガズや、失業が原因で気力を失っている親友デイブ、友人もなく気の弱い警備員のロンパーら6人の中年男が、素人ストリップで一獲千金を狙います。
ガズは鉄工所に子連れで盗みに入ったり、万引きをしたり、ひと言で表すと「ダメ人間」です。ストリップショーに向けてダンスの練習をしても、それすら下手くそなのだから、情けない。
ガズの一人息子のネイサンは、まともに働こうとしない父親にあきれるばかり。しかし、息子の期待通りに行動できないガズに歯がゆさを感じつつも、私には親近感がわくのです。彼らは希望や自信が持てない状況で、頑張ろうとしても、それが出来ないほど追い詰められている。人は置かれた環境に大きく左右されるということを、強く感じます。
印象に残っているのは、自殺を図ったロンパーをガズとデイブが助けて「友だちになってやるよ」と仲間に誘うシーン。「ありがとう」と笑うロンパーが、大好きになりました。
ストリップショーの本番直前、会場に男性客を見つけておじけづくガズに、ずっと反対していたネイサンが「仲間を裏切るのか」。ついに父の背中を押します。彼らなりの方法で互いを支え合い、困難や問題を乗り越えようとする姿はすばらしい。ラストでは希望を見ることができました。
聞き手・渡辺鮎美
監督=ピーター・カッタネオ
製作=英
出演=ロバート・カーライル、トム・ウィルキンソン、マーク・アディほか ふかや・かほる
代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。ツイッター(@fukaya91)に発表している漫画「夜廻(まわ)り猫」が6月30日に発売。 |